気になる奥様の反応は？

前回の記事で見たように、既婚男性の転職者にとって、人生の伴侶である奥様は、もっとも相談しやすいかけがえのない存在です。 転職という場面においても、頼れるパートナーとして支えてくれます。 今回は、2015年11月に転職会議が実施した「既婚男性の転職活動に関する実態調査」の中から、「夫の転職に対する奥様のかかわり方」について見ていきましょう。 まず「奥様は転職を応援してくれましたか？」という問いに対する結果は、以下のとおりです。

実に全体の88.4％が「はい（＝応援してくれた）」と答えています。応援してくれた理由を回答率が高かった順に挙げてみると、

• 1位 やりがいの感じられない仕事をしていたから。（37.0％）
• 2位 年収が高くなるから（36.4％）
• 3位 残業が減りそうだから（22.1％）
• 4位 仕事でかかるストレスが少なくなりそうだから（21.3％）
• 5位 勤務地が家から近くなるから（15.4％）

1位と2位の違いは0.6ポイントと非常に僅差ではありますが、「年収」といった実益だけでなく、自分の夫の「やりがい」に重きを置いているようです。「ストレスの少ない仕事内容だから」という回答が、比較的高いポイントなのも注目すべきでしょう。妻として、年収は気になるものの、夫の健康ややりがいにもしっかり配慮していることがわかります。奥様の愛情を感じる調査結果ですね。

では、一方で転職を応援してくれなかった理由を見てみましょう。反対するにもしっかりとした根拠がありそうです。

上記の図の通り、「年収が下がるから」（37.6％）、「勤務地が家から遠いから」（28.4％）、「当時（もしくは現在）の勤め先の福利厚生が充実しているから」（21.8％）が、トップ3になります。自由記述で答えてもらった「その他」についても見てみると、「転職によって家庭状況に変化が生じるから」「生活を維持できなくなる可能性や不安があるから」「現在の職である程度安定しているため」などの回答がありました。

時として転職希望者は、選考が進む中で企業に情が湧いたり、内定獲得により承認欲求が満たされることがあります。このことで、想定していた条件と合わなかったり、生活が大きく変わったりすることになっても、思わず目を背けてしまうことがあります。そんな中、奥様は毎日の生活を支える家族の参謀として、転職を希望する夫の“甘さ”や“緩み”を戒める役割をも担っているようです。

悩むのは奥様も一緒

上記の結果を見ると、転職希望の夫を持つ妻も、夫の未来を応援したい気持ちと、毎日の生活を守らなければならない気持ちの間で揺れていることがわかります。 以前の記事でも取り上げましたが、転職活動はとても孤独です。日頃さらされることのないプレッシャーも押し寄せますし、不合格が続いてしまうと精神的に不安定になることもあるでしょう。 しかし、それは夫を見守る奥様も同じだということを忘れてはいけません。アンケートの中には、転職をきっかけにすれ違いが生まれ、離婚に発展してしまったという回答もありました。

そもそも転職は幸せになるためにするものです。 自分の殻に閉じこもるのではなく、転職活動の状況や感情をしっかりと奥様と共有し、二人三脚でゴールを目指していくことが既婚男性の転職活動における成功の鍵となるのではないでしょうか。

話は変わりますが、次の会社に入社するまでの期間で旅行にでかける、「転職旅行」という言葉があります。あるデータでは年間100万人もの方が転職旅行に行っているそうです。 日頃の感謝を込めて、夫婦水入らずでの旅行を楽しみに、転職活動を乗り切るという方法もいいかもしれません。