【前編はこちら】
PART1:「上司がどうしても尊敬できません。転職すべきですか?」はこちら
PART2:「結婚したら、女性は仕事よりも家庭が優先?」はこちら
お悩み相談6:ベンチャー企業から大手企業に転職したい、マーケティング職の女性
- ■質問(6)
- ベンチャー企業でマーケティング職に就いています。一人ひとりの裁量が大きい一方、教育制度やマネジメント体制が整備されておらず、日々の仕事をプレッシャーに感じています。 勤務時間と評価制度にも不満があります。帰宅時間が毎日23時を過ぎているため、もう少し労働時間を短くしたいです。 また、評価制度がしっかりとしておらず、なかなか給与が上がりません。目標管理がないので、昇給の方法もわかりません。 正直、ある程度の学習も実務もこなしてきたので、他の会社で十分やっていけるスキルがあると思っています。 教育体制、勤怠管理、評価制度、福利厚生など、制度がしっかり整った大手企業へ転職したいです。ベンチャーから、大手企業への転職って難しいでしょうか? (20代後半・女性・マーケティング職:転職回数1回)
鹿山氏:この方の場合、転職を考える前に自分が本当に求めているものを考えて、優先順位をつけることが大切だと思います。 今は、ワークライフバランス、給与面、教育体制など、全般的な就業環境の向上を求めているようですが、仮に大手企業に転職したとしても、これらの悩みがすべて解決できるとは限りません。 イメージしていることと実状に差があるようなので、まずはそこを埋めていきましょう。
「ワークライフバランスの充実=大企業」の大きな罠
鹿山氏:まず、誤解しているポイント1として、「ワークライフバランスの充実=大企業」だと思っている点が挙げられます。大手企業は、勤怠管理や福利厚生がしっかりしていると思われがちですが、実際は名ばかりで、制度が機能していないことがあります。イメージとは逆かもしれませんが、今は就業環境が充実しているベンチャー企業、中小企業がたくさんあるのです。大手にはない、ユニークな制度を取り入れている例も少なくありません。企業文化が若いため、周囲の理解も得やすく、産休・育休の取得や職場復帰がしやすいというメリットもあるでしょう。
- こういった現実をふまえて、ワークライフバランスの充実と企業規模は切り離して考えるべきです。もちろん就業環境の充実に力をいれている大企業もたくさんあるので、大企業かベンチャーか、という二択ではなく、各会社の状況を適切に把握することが大切です。
坪井氏:ワークライフバランスが充実しているベンチャー企業は意外に多いですよね。私自身も、編集長を務めるIT業界誌の取材で、そういう企業にたくさん出会ってきました。会社の規模でなく、各社の社風に注目したほうが良いと感じます。 続いての誤解ポイントはなんですか?
鹿山氏:誤解ポイント2は、給与面についてです。「給与をあげたいから大企業に転職したい」とのことですが、大手だからといって給与が上がるわけではありません。給与額を決めるのは、企業の「金銭感覚」です。「大企業だからスキルに見合った給与がもらえる」とはいえないことを、残念ですが理解しておいた方が良いですね。
坪井氏:企業の「金銭感覚」とは、同じスキルを持つ同じ年齢の人に、400万円だす会社もあれば500万円だす会社も存在する、ということですか?
鹿山氏:そうです。給与を改善したいと考えて転職する場合は、この点に気をつけて企業間比較を十分に行った方がよいでしょう。ただし、年齢を重ねれば重ねるほど転職時に求められるスキルは高くなり、そのぶん内定を得るのは困難になります。その意味で、スキルアップの余地についても転職の際十分検討を重ねるべきです。 もしも相談者が今転職するのなら、まだ20代後半とお若いので、適切な労働時間の実現はもちろんのこと、将来のことを考えて給与よりスキルアップできる環境の方を重視したほうが良いかもしれません。
坪井氏:ですが、その会社の残業の程度や、キャリア開発についての考え方って、なかなか外部からはわからないものですよね? 面接時に聞くのも憚られますし…。
-
鹿山氏:情報収集は面接だけではありません。企業HPを読み込む。ネットで情報収集をする。知人に評判を聞いてみる。新聞を読む。方法はたくさんあります。
また、手前味噌ですが弊社「転職会議」のクチコミもぜひ参考にしてみてください。クチコミはもともと個人の主観なので完全に信用するのは危険ですが、たくさん読めば、その企業の『標準』が見えてきます。実際の従業員、退職者による情報なので、より実態に近い情報が得られるはずです。
坪井氏:色々な会社の情報を得る中で、今の職場の良さに改めて気づくこともありますよね。この方も、目の前の仕事が忙しすぎて「全般的に改善したい」という気持ちが大きくなってしまっているようですが、「裁量が大きい」って実はすごく良い部分でもあると思うんです。
任されることが大きい分やりがいも感じられますし、自分自身の成長にもつながります。悪い部分だけではなく、現職の良い部分も考えてみることが大切かもしれないですね。
一番の悩みが長時間労働なのであれば、上司に相談して業務量の調整をすることで、転職せずに解決する可能性もありますし。
鹿山氏:そうですね。今の環境だからこそ味わえる良い部分も、実はたくさんあるはずです。大手企業ではベンチャー並みの裁量権は期待できないことの方が多いでしょうから、この点は特に慎重になったほうが良い。色々な観点からご自身の状況を考えることで見えてきた希望が、実現できるようサポートしていきます。
お悩み相談7:転職先がブラック企業!マーケティング職に就く20代男性
- ■質問(7)
- 転職先がブラック企業でした! 残業は毎日深夜まであるのに(大体終電です)、残業代は一切つきません。また、社長に気に入られるかどうかだけで、いきなり解雇される可能性もあるようです。 数人ですが、自分の周りでいきなり解雇通告された人がいました。毎日疲れているのに、不安でしっかり眠れません。これからどうすればよいのでしょうか。 (20代後半・男性・WEBマーケティング職:転職回数1回)
坪井氏:職場で戦々恐々として、体は残業続きでクタクタになっている…。深刻な悩みですね。 鹿山氏:この内容が本当なら、迷わず転職をお勧めします。ただし、次の転職先が決まるまで、今の会社は辞めないことも申し添えておきます。 坪井氏:ご本人としては今すぐ抜け出したい状況だと思いますが、それでも辞めないほうがいいのはどうしてですか? 鹿山氏:離職期間が6カ月程度までなら問題ないのですが、それより長いと企業からマイナスイメージで見られてしまうからです。次の仕事が見つからないと、余裕がなくなり、就職自体が目的になりかねません。その結果、焦ってまた同じような環境の会社に行ってしまうことがあるのです。次が決まるまで今の会社を辞めないのは、そうした失敗を繰り返さないための“保険”です。
ブラック企業から抜け出すには…!? 最短距離の転職方法
坪井氏:ですが、毎日こんなに忙しくては、勤めながら転職活動をするのはかなり難しそうに思えます。
鹿山氏:大丈夫です。そのために私たちキャリアコンサルタントがいます。転職を早めに実現しなければ死活問題ですから、最短距離での転職をご案内します。
まずは、ご希望の条件をお伺いし、転職先候補を厳選して進めることで負担を減らしましょう。面接についても、勤務中に外出できる職種の場合は、隙間時間で1日の間に効率的に面接がこなせるよう、適切な日程を組ませて頂きます。また、スカイプ面談を取り入れている企業などであれば、移動時間を節約することが可能ですし、そういった調整はコンサルタント側で行う事ができます。 念のため申し上げておくと、こういった手段をお勧めするケースは「本当にブラック企業」の時だけです。念のため(笑)。
- 坪井氏:それは心強いですね。ところで、そもそもブラック企業の定義ってあるのでしょうか。それぞれの価値観に依存しそうな気もするのですが。
鹿山氏:人によって、定義も基準も様々ですね。残業ゼロを求めている人には、月の残業が30時間でも「ブラック」になってしまうでしょう。私の感覚では、「社員の価値観を否定する会社」、「自社の価値観を強要する会社」はブラックだと考えています。
坪井氏:転職先の面接で転職理由を聞かれた場合、前の会社がブラックだったことは伏せておいた方がよいものですか。
鹿山氏:前の会社を辞める理由を、「ブラック企業だったから」と言うのはかまいません。ただ、ブラック企業とはいえ学べることはあります。辛い経験だったかもしれませんが、そこで経験したことや学んだことをどのように仕事で活かしていけるのか、
ポジティブに変換してアピールできるといいですね。
転職TIPS:「求人票」における素朴な疑問
- ■質問(8)
- 「求人票」における素朴な疑問 求人票で見かける「見込み残業」って何?
坪井氏:見込み残業は、基本給が比較的高い会社がその理由を示すためのものと理解していましたが、実際のところはどうなのですか。
鹿山氏:「通常通りに仕事をすれば、これぐらいの残業は発生するという想定のもと、残業代を先に支払う」という形のものです。例えば、見込み残業が40時間なら、40時間分の残業代が給与と一緒に支払われます。
坪井氏:ただ、見込み残業分は毎月必ず働かないといけないというわけではないですよね。
鹿山氏:ええ。これぐらいの残業が発生するだろうという想定ですから、たとえば見込み残業が40時間で設定されていても、月の残業が20時間で済めば、それはその人の裁量ということになります。必ずしも見込み残業分、働かなければならないということではありません。
坪井氏:早く終わる分にはかまわないということですね。逆に言えば、仕事が終わらなければ、見込み残業以上に働かないといけないということですよね。
鹿山氏:当然、自分の仕事はきちんとこなすことが前提です。ですが、見込み残業を超えた分は、別途残業代として支払うことが法律で義務づけられています。他に心配なことがあれば、私たちキャリアコンサルタントが会社の方針をお調べし、疑問解消に努めますよ。
- 【プロフィール】
- 鹿山 洋一氏
2007年、株式会社ディスコに入社。約8年間人材コンサルタントとして活躍。2015年、株式会社リブセンスに、転職会議ユニット 人材紹介グループリーダーとして入社。若手から、中堅、エグゼクティブ層まで、幅広く転職活動のサポートを行う。
坪井 安奈氏
株式会社グラニでIT業界誌『Grand Style』の編集長を務めながら、タレントとして活動中。慶應義塾大学を卒業後、小学館に入社。2013年12月に同社を退社。学生時代に横浜ベイスターズ専属チアや日本テレビ『Oha!4 NEWS LIVE』女子大生アシスタントなどを経験。
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