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挫折を経験した時にこそ、自分の伸びしろを感じた:新津春子さんインタビュー【後編】

羽田空港を世界一清潔で快適な空間として保ち続ける「清掃のプロ」新津春子さん。年齢制限や女人禁制など、あらゆるハードルを乗り越えて天職をつかんだ前編のお話に続き、後編では自らの体験を交えて、他人の批判に左右されず、自分のスキルを積み上げるために仕事に向き合うモチベーションの保ち方について教えていただきました。
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挫折を経験した時にこそ、自分の伸びしろを感じた:新津春子さんインタビュー【後編】

羽田空港を世界一清潔で快適な空間として保ち続ける「清掃のプロ」新津春子さん。年齢制限や女人禁制など、あらゆるハードルを乗り越えて天職をつかんだ前編のお話に続き、後編では自らの体験を交えて、他人の批判に左右されず、自分のスキルを積み上げるために仕事に向き合うモチベーションの保ち方について教えていただきました。
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→前編はこちら
 

【プロフィール】
日本空港テクノ株式会社・環境マイスター。1970年、中国残留日本人孤児2世として中国・瀋陽に生まれ、17歳で渡日。以後、25年以上清掃の仕事に従事する。1997年当時、最年少で「全国ビルクリーニング技能競技会」で優勝。現在は羽田空港国際線ターミナル、第1ターミナル、第2ターミナル清掃の実技指導者に加え、同社唯一の環境マイスターとして清掃職人の育成を行っている。

自分の芯を持っていれば、人に左右されることはない

――清掃の仕事を極めようと思ったのは、いつ頃だったのでしょうか?

大会の時、鈴木常務に優しさを持つように言われた後、この仕事を極めようと思いました。挫折を経験したと同時に、自分が成長できる伸びしろに気づくことができたので、一番強く自信を感じた瞬間でもありました。それまでは、技術には自信があったものの、あくまで自分の中でのことでしたし、周りにはまだ認められていなかった。大会で1位をとったことで新たな自信がつきましたが、仕事上ではまだ認められたわけではありません。お客さんや同業者のプロたちからも認められるためにはどうしたらいいか、考えるようになりました。

 

――清掃の仕事は、社会的に低く見られているとおっしゃっていましたが、そう感じながらその仕事に誇りを持つために心がけていることはありますか?

 
私は最初から好きで清掃の仕事を始めたわけではありません。生きていくために仕事をしなければならず、その選択肢が清掃でした。それでも始めてみると学ぶことはたくさんあり、夢中になっていることに気付きました。

仕事というのはある程度習得していくと自信がつくものですが、その段階ではまだ自信は自分だけのもの。それを人から評価された時、より強い自信になります。そうして色んなスキルを習得して、他の人ができないことが増えてくると、私に任せようと頼ってくれる人も増えてくる。それがまた新たな自信につながります。
 

――自信をつけていくことで、周囲の目が気にならなくなるということでしょうか?

物事は、気にしすぎると前に進めないものです。些細なことはどうでも良くて、自分がやりたいことは何か、もしそれが見つからなくても、自分はこういう人間だと自分が分かっていれば、人に左右されないもの。だから自分さえしっかり芯を持っていれば、何をしてもうまくいくものだと思います。

仕事のやりがいが見いだせないのは、自分を信用していないから

――新津さんのように仕事を楽しむためには、自分なりのやりがい見つける必要があると思うのですが、もしもそれを見つけられない場合、どうすれば良いと思いますか?

 
自分が何をすべきか分からない人は、今自分が取り組んでいる仕事に自信が持てず不安なのだと思います。自分自身がないということは、自分を信用できていないということでもあるんです。目の前の仕事が好きになれないと、このくらいでいいかと妥協する。そうするとモチベーションも下がり、成果を出すために不必要な壁を自分でつくることになるんです。

目標がなく不安を感じている人は、何でもいいから目の前の仕事を継続するための動機を見つけて、それに没頭してほしいと思います。そういう時は何をやっても自信が持てないかもしれないけれど、1~3年くらい続けてみると、身体が覚えてきて当たり前になって忘れられなくなる。それくらい習得するまでは、自分を信用してあげてほしいですね。
 

――頭では分かっても、結構難しそうですね。

自分を信用していない人はだいたい優しい人なんです。周りに気を配りすぎて、色々なことを考えすぎて前に進めない。顔色をうかがうのもいいけれど、周りも同じくらい自分のことを考えてくれているかどうかも考えた方が良いと思います。全部人に合わせたら自分がなくなってしまうから。 一つでもいいので「私にはこれがある」というものを見つけて自信を持つことです。美人だとか優しいとか、何でもいいのでそう言えるものを持つことが大事だと思います。仮にどんなにどうしようもなくても、自分自身は世界に1人しかいないし、自分の生き方だから人が評価する権利なんてないのです。自分を阻害する人がいれば、そう相手に言えば、相手の考えが変わることもあるかもしれない。それも優しさの一つなんです。

 

――ご著書にもあった「自分にとって大事なことがはっきりしていれば、誰が何を言っても、左右されることはありません」ということですね。

どこの会社にも、人のやり方が気に入らず、影で悪口を言う人はいますよね。頑張る人をみて面白くないと思う人間は必ずいます。でも、そういう人を気にして自分を曲げたらどんどん道がそれてしまう。批判をまともにとったら、自分がどんどんだめな人間になり、自信を持てない人を評価してくれる人は少なくなる。私の場合は、相手にしないこと。大事なのは自分の仕事をまっとうすることですから。

1つひとつの場所で没頭し、スキルを積み重ねる

――その場に踏みとどまって自分の芯を模索する方法がある一方で、やりがいを感じる仕事に出会うために転職に踏み切るという選択もあると思います。

もちろん、キャリアを重ねると、自分がやってきた仕事で習得したスキルが蓄積されますよね。私の場合、ヘッドホン製造の仕事で学んだ技術があるから、今も清掃機械を自分で修理することができます。自分に合う仕事を求めて会社を転職するまでに、今いる職場で没頭した仕事があれば、何かを習得できているはず。そうすると転職を繰り返す度にスキルは増えていく。もし今転職を考えている人も、ただ辞めるだけでなく、1つの場所でどのようなことを覚え、蓄積していくかを意識してもらいたいと思います。

 

――仕事の内容だけでなく、職場の人間関係に悩む人も多いのですが、新津さんは約500人のスタッフとお仕事をされる上で、どんなコミュニケーションを大切にしていますか?

相手を思いやる心でしょうか。私は指導者という立場で清掃の基本は教えますが、それだけでは伝わりきらないので、自分で感じたことを工夫しながらやってみてくださいとスタッフに任せます。そうすると、私が気づかないようなことをできる人もいる。

一人ひとり興味が違うから教え方も変えたり、自分が何に興味があるのか分からない人には、聞き出して理解しようとしたり。長く働いてもらいたいというよりも、この人の将来にとってどんなことが役立つかを考えます。興味がなくなったり、合わなくなれば基本を覚えて辞めればいい。清掃は自分や家族のために、必ずしなければならないことなので、自分のプラスになる技術を覚えていってくれればいいと思います。

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80歳まで現役で働いて、周りに希望を与えたい

――新津さんのような「清掃のプロ」が増えると日本はピカピカになりそうですが、また自分の可能性に挑戦する大会に出たいと思いますか?

チャンスがあれば、またチャンピオンを目指したいですね。自分を試したいという意味もありますが、周りの人たちにまだまだできるということを示したい思いもあり、会社で働ける65歳ぎりぎりまでは挑戦するつもりです。1位を取りたいというよりも、周りの人たちに希望を与えたいから。いつまで働きたいかと聞かれて、80歳まで現役でいたいというと驚かれるのですが、口だけではなく実際の行動で見せることができたら、みんなももう少し自分を信じてみようって気持ちになるのじゃないかしら?そういうことを示していくのもまた、私の役割なんだと思っています。

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