細分化が進むネットの世界に見た自己実現の可能性
――大川さんは、さまざまな職業を経験した上で、インターネットの世界で挑戦することを選ばれたんですね。
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僕は人生で2回、これからはインターネットの時代だと思ったことがありました。1回目はユニクロを辞めてITの会社に入った時で、自分が技術を持っていなくてもネットで何かをやろうとするのに、どんな人にどんなことをお願いすれば実現できるのかを身に付けようと思っていました。2回目はフリー素材モデルをやろうと思った時なんですが、インターネットでは、特別な技術がなくても有名になる人がたくさんいて、そのジャンルもすごく細分化されていますよね。
例えば、野球の王貞治さんや長嶋茂雄さんのように“日本人なら誰でも知っている”という有名人になるのはとても難しいことですが、インターネットの世界なら、個々に分かれた世界でセルフブランディングができてさえいれば、一つのジャンルを築ける気がしたんです。
――家入一真さん(GMOペパボ創業者)のアシスタントもされていましたよね。
家入さんの『こんな僕でも社長になれた』という本を読んで、面白い人だなと思っていたんですが、フリー素材のモデルを始めた頃に、家入さんがアシスタントを募集していたので応募してみたんです。1回会ってすぐに採用してもらえて、その頃にどうやってサービスを作っていくのか、炎上したらどういうことが起きるのか、どういう風な立ち振る舞いをしたら面白がってもらえるかなど、ネットの世界の最前線にいる人の近くで多くのことを学びました。
――自分の見せ方を学んだということでしょうか。
自分の見せ方というよりも、ネットの文脈をどう捉えるのかということを学びました。同じことをするにしても、見せ方次第でウケたりウケなかったりもしますよね。見せようとしているものが、どうすれば一番受け入れられるのか、他の情報との関係性を見極めて表現することが大切だと思うんです。
僕は、家入さんの他にも勝手に“インターネットの師匠”と呼ばせてもらっている人がいて、一人はネットニュース編集者の中川淳一郎さん、もう一人は「エヅプトくん」のLINEスタンプで有名なヨシナガ(吉永龍樹)さん。3人の師匠を見てきて少しずつ自分の立ち振る舞いを覚えていったという気がしています。
仕事に対する熱意と覚悟は見られていると意識する
――特別な技術を持たなくても自分を売り込めるのがネットの良さということですが、それでも自分の強みは必要かと思います。大川さんが現在の活躍をつかむまでに特に努力したことは何でしょうか?
もちろん顔を出す仕事なので、肌荒れやむくみなどコンディションにむらがないよう、事前にどれだけ自分を準備できるかも大事なんですが、その中でもフリー素材って、何かの場面をイメージしている人が探している写真なので、シチュエーションを再現することがとても重要なんですね。
――確かに、PAKUTASOの素材は「講師が熱弁する授業風景」「休みが取れないリクスー女子」など、設定が細かいのが印象的です。
例えば、林修先生の「今でしょ!」のポーズをパロディーにした撮影では、林先生の特徴をつかむために何度も動画を見て、鏡の前でしっくりくるまでポーズを練習しました(笑)。
あとは働く人すべてに言えることですが、もしも自分が面接で採用をする立場だったら、やる気も強みもない人を採ろうとは思いませんよね。仕事でも個人的な活動でもいいので、その人がこれまでどんなことに取り組んできて、かたちにしてきたのかという実績は必要だと思います。それがその人が努力してきた結果だと思うので。 中途半端にやっていると、人ってやっぱりそれを見ていると思うんです。そういう意味でも、仕事の種類や大小に関わらず、熱意と覚悟を持って取り組むのは重要なんじゃないかと思っています。
フリー素材モデルは、あらゆる可能性への種まき
――フリー素材モデルとして活動を始めてから感じた変化や手応えのようなものはありますか?
お会いする人に一番言われるのは、「本当に実在するんですね」という反応ですね(笑)。あと、初めてお会いする方で、その時は僕のことを知らないんですが、次に会った時には「よく見るよ」と言ってくれることがあって。それってたぶん、前から僕を見る機会はあったとしても、意識していないから“見ていない”と思っていたのが、実際に会って認識することで僕の存在に気づく機会が増えたんですよね。そういう認識を膨大な数で生み出せればもっといろんな人に知ってもらえて、今以上にチャンスが広がるんじゃないかなと思うので、僕にとってフリー素材モデルの仕事は、色んな可能性を育てるための種まきだと思っています。
――海を越えて海外の人にも認識される可能性はありますよね。
文章と違って言葉の壁がないので、それが写真の強みでもあると思います。僕の写真が海外にも広がり、思ってもいない層に届けられるチャンスがあるのは楽しみですね。
失敗という考えを持たず、できることをやり続ける
――誰もやらない分野を選んだ時、失敗するかもしれない不安はなかったのでしょうか?
別にこの仕事に限った話ではありませんが、中途半端にやめてしまうことが一番の失敗かもしれないですね。「PAKUTASO」は個人運営のサイトで、事業として成功させようとやっている訳ではないので、失敗という考え自体がそもそもありません。ビジネスだと売り上げを出さなきゃいけなくて、ギスギスしたりすることもあると思うんですけど、お金に軸を置かなかったからこそ、僕たちは上手くやっていけていると感じます。
――確かに、やめずに挑戦し続けると、失敗という結果で終わることはないですね。
そうですね。まあ、始めた時は軽い気持ちだったんですが(笑)。でもやるからには結果は出したいので、それを追い続ける覚悟は大事ですよね。だから僕はいつも、死ぬまでやめないと言っているんですが、死んだら死んだで遺影もフリー素材にするつもりです。
――遺影ですか。写真で生き様を見せてますね。
その頃インターネットがどうなっているかは分かりませんが。考えたら、一生自分の写真がネットに残るって結構なことだと思うんですよね。僕が仮に不祥事を起こして捕まったら膨大な人が膨大な労力を割いて僕の写真全部取り下げなきゃいけないかもしれない。芸能界のタレントさんだったらどこで写真が使われたか把握していますが、僕はフリーで素材を配布しているので、どこでどれほど使われているかも分からない。そういう覚悟を持ってやっているので、悪いことはできないです(笑)。
- 【プロフィール】
- 自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデル。ユニクロの店員からライブハウス店長、WEB開発やプロレスラーで元岩手県議会議員のザ・グレート・サスケさんの付き人など、さまざまな職業を経験。現在はモデル以外にも、フリーランスのライターやプランナーなど多角的な活動を展開。
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