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募集要項の各項目、意味を理解できている?
求人サイトには、各社の募集要項がずらり。よく見ると、それぞれ求人の条件が細かく異なることがわかります。「給与」や「年間休日」などは、一見すると直感的に理解しやすい項目に思えますが、正確な定義を知っているでしょうか? また、他の項目はどのように見ればいいのでしょうか。
雇用形態・雇用期間
雇用形態には、「正社員」のほか「契約社員」「パート・アルバイト」などの種類があります。
正社員の場合は、自己都合/会社都合の退職がない限り、定年まで雇用契約が続くことを前提としています。
契約社員の場合は、雇用期間や契約更新の有無を確認しましょう。1回の契約で働ける期間は原則として最長3年、最短は法的なルールがありません。正社員登用の可能性について明記されている場合もあります。
勤務地
本社とは別の場所を勤務地として指定されることもあります。転勤の有無も合わせて確認しましょう。
給与
固定給
月給制の場合、給与欄に書かれているのは、毎月支給される金額です。一方の「年収」は、「12カ月分の給与+賞与(賞与が支給される会社の場合)」の金額が例として示されています。
年収欄に「300万~700万」などと金額の幅が広く書かれている場合、年齢、実務経験、保有資格、採用後の役職などにより、企業から実際に提示される金額は変わるでしょう。ただし、前職での年収が考慮されることも多くあります。
年俸制の場合は、給与欄に1年単位の支給額が書かれていることが多く、それを分割した額が毎月支給されます。「年収」や「年俸額」には、一般的に各種手当や固定残業代が含まれています。
固定給+歩合給
営業や接客業など、特定の顧客がつく業務の場合、業績により支給される金額が変動する制度(歩合制)を採用している企業もあります。固定給と歩合制を組み合わせて「月給=固定給+歩合給」というような給与設定が多く見られます。
また、目的達成に合わせて「インセンティブ」「報奨金」などの支給を定めている会社もあります。
役職手当
課長やマネージャーなど、役職者になると支給される手当です。「管理職手当」などと書かれている場合もあります。
昇給
昇給制度がある企業では、年1~2回の昇給について明記されています。「業績によって」など昇給条件を設けている企業もあります。
賞与
企業によって、「賞与あり」、「企業の業績により賞与あり」が書かれている場合は、賞与の支給があります。賞与額は会社によって異なります。支給時期は、夏または冬に、年1回(期末)もしくは年2回(半期に1回)などと定めている会社が多く見られます。
支給額は、あくまで目安ですが、年2回賞与を支給する企業の場合、大企業=1回あたり基本給の2カ月から2.5カ月分、中小企業=1回あたり基本給の1カ月~1.5カ月分が一般的といえそうです。
労働時間
就業時間
始業時間と終業時間が明記されている場合、始業から終業までの時間から、休憩時間を除いた時間が、原則として勤務する必要がある時間(所定労働時間)となります。
シフト制の場合は、シフトに従って勤務時間が変動します。フレックスタイム制や裁量労働制の場合は、自分で就業時間をある程度コントロールできます。
時間外労働手当(残業手当)
いわゆる「残業代」のことです。労働基準法によって、企業は従業員に法定労働時間外の労働をさせた場合、割増賃金を必ず支払うことが定められています。
よくあるケースとして、求人票には「月給25万円」と記載されていたのに、選考過程や内定後に、企業側から「月給には残業代(固定残業代)が含まれている」と言われるトラブルが挙げられます。
残業代について何も書かれていないとき
「残業なし」と明示されていない限りは、注意が必要です。支給方法について選考時に確認しましょう。
固定残業代
毎月、一定時間分の残業代が定額で支給されることを指します。「みなし残業代」「超過勤務手当」などと書かれていることもあります。固定残業代について、「月何時間分」が支給されているか明示されていない場合は確認したほうがいいでしょう。
また、「月45時間分」を超える金額が記載されている場合は注意が必要です。なぜなら、時間外労働の原則が「月45時間、年360時間」だからです。例外として年6回まで45時間を超えることが可能ではありますが、年に6回しか超えられない時間数を毎月の固定残業代として設定していること自体が問題ありといえます。
休日・休暇制度
休日
労働しない=休みの日を指します。「完全週休2日制」の場合、1週間のうち2日が必ず休みになります。「週休2日制」の場合はこの通りではなく、1カ月の間に最低一度は2日休みの週があり、それ以外の週は1日以上休みがあります。
また、「土日休み」と書かれていない場合は、平日休みの可能性があります。
年間休日数
会社が「この日は全社的に休日とする」と定めている休日日数の年間合計です。たとえば「完全週休2日制(土日)」の場合、土曜・日曜のほか祝日、夏季休暇、冬季休暇(年末年始休暇)などを足した合計日数になります(※)。
会社によっては「創立記念日は休日とする」「5月のGWの連休は中日を休日にする」などで年間休日数が多くなっている場合があります。
有休休暇
労働基準法で定められた法定休暇のため、求人票に書かれていなくても必ず発生します。取得日や条件が人によって異なるため、年間休日数に含まれません。
正社員の場合、入社してから6カ月以上働き、その8割を出勤していると、年10日の有給が労働基準法で必ず付与されます。企業によっては、「入社してすぐに有給休暇を取得できる」など独自のルールを設けていることもあります。
会社独自の休暇制度
バースデー休暇、リフレッシュ休暇などがあります。こちらも取得日や条件が人によって異なるため、年間休日数には含まれません。
加入保険・退職金
加入保険
転職において、主に確認したいのは「健康保険」、「厚生年金保険」、「労災保険」、「雇用保険」の4つです。「(各種)社会保険完備」と書かれている場合、多くはこの4つに加入できることを意味します。
健康保険、厚生年金保険
この2つをあわせて「狭義の社会保険」といいます。正社員かどうかに関わらず、フルタイムで働く人、週所定労働時間および月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の人は加入対象です。
パート・アルバイトの加入条件については、下記を参考にしてください。
▶パート・アルバイトのみなさま|社会保険適用拡大サイト(厚生労働省)
労災保険
雇用形態に関わらず、必ず加入します。
雇用保険
雇用形態に関わらず、31日以上引き続き雇用される見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上の場合は必ず加入します。
退職金
退職金制度とは、退職する際に一定金額が支給される制度です。「3年以上在籍した場合」など条件が設けられている場合があります。自社に退職金制度がない場合、中小企業向けに「退職金共済」への加入が明記されていることもあります。
福利厚生
通勤手当
通勤時の交通費が支給されます。交通費の支給は企業の義務ではありませんが、一般的には支給される場合が多いでしょう。「月〇円まで」と上限が決められている場合もあります。
一定期間ごとに交通定期代が支給される場合と、毎月実費で申請する場合など、支給方法は企業によって異なります。
家賃補助
多くの場合は給与に上乗せする形で、家賃の一部を会社が負担してくれます。「会社から〇キロ圏内」「〇〇市内」など、居住範囲が決められている場合もあります。
社宅、社員寮
企業が借り上げた社宅や社員寮に住むことができるケースがあります。いずれも自分で賃貸物件を借りるより家賃が低く設定されている場合が多いでしょう。「入社○年まで」など入居条件を確認しましょう。
職種・仕事内容
どんな仕事なのか確認し、不明点がある場合は選考過程で解消するようにしましょう。「職種変更の有無」も確認しておくことをおすすめします。
求人票から未来のあなたの働き方をイメージしよう
「なんとなく良さそう」な求人を見つけ、よく検討しないまま応募してしまうと、後から「思っていた仕事じゃなかった」とギャップに苦しむかもしれません。募集要項を細かく確認し、自分にとって「譲れない条件」や「できれば希望する条件」と一致するか考えてみましょう。
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※記事内で紹介した法制度やサービスは記事公開時点での情報です。
プロフィール:
社会保険労務士法人シグナル代表 特定社会保険労務士
有馬美帆さん
IPO支援、労使トラブル予防・相談、就業規則作成、ハラスメント防止、各種セミナー講師、執筆などの活動中。企業の成長フェーズに応じ、一歩先回りした組織力強化コンサルティングを得意とする。
文:森夏紀/ノオト
編集:リブセンス + ノオト
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