最先端の光学技術を支えるソフトウェアを提供
――御社の拠点はアメリカですが、2016年に日本法人を設立されたのはどのような背景からだったのでしょうか?
米国本社のZemax, LLC社(以下、Zemax社)は、1990年の創業以来、最先端の光学設計と照明設計のソフトウェアの開発および関連サービスを提供し、世界的に販売数を堅実に増やしてきました。Zemax社の製品は、現在光学業界内で最も多くのユーザーに選ばれる製品となっています(※2016年度のPennWell Corporation調査、光学業界でユーザーシェアNo.1となった)。 また、現在Zemax社は成長のセカンドステージに入り、弊社が培ってきた光学技術を基盤に、光学設計からメカ設計を含む開発プロセス全体の支援に事業領域を拡大しています。日本は光学技術の先進国で、国内では約2000社がZemax社の製品を導入しているという実績もあり、アメリカ本社に続いて世界で2番目のユーザー数を獲得するまでに成長しました。
近年、Zemax社の主力製品である光学・照明設計ソフトウェア「OpticStudio(オプティックスタジオ)」に、メカ設計者向けにオプトメカ設計を支援する 「LensMechanix(レンズメカニクス)」が加わり、お客様の開発部署間の連携や製品開発を加速させる新たなソリューションが揃いはじめたことで、2016年に日本法人を設立するに至りました。
日本は非常に重要な市場で、代理店を通じてZemax社の製品を販売する中で多くの企業、お客様から支援をいただいてきました。日本法人を通じて技術的なサポートの強化、光学設計に留まらず製品開発全般のソリューションの提供、そして国内のユーザーのフィードバックを製品に反映することで恩返しをしたいという思いがあったのも、日本法人設立の背景の一つです。
――「光学と照明設計のソフトウェア」ということですが、具体的にはどのようなもので、どんな場面で使用されているのですか?
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光学・照明設計ソフトウェアとは、光学製品を設計するために「光の振る舞いをシミュレーション」するソフトウェアです。一般的にレンズ設計と照明設計とではシミュレーション手法が異なるため、2つのソフトウェアとして製品化されています。一方OpticStudioは、一つのプラットフォームでレンズ設計と照明設計という異なる分野のシミュレーションが可能で、さらに設計に必要な光学系の解析、最適化、公差解析の3つを網羅しています。あらゆる光学技術に対応できる様々な機能があるため、物理学に基づいた計算式で信頼のあるシミュレーション結果を導き出すことが可能です。
一般的に「光学製品」といっても聞き慣れない方も多いかもしれませんが、身近なものでも数多く存在します。例えばメガネ、カメラ、ディスプレイ。青色LEDのノーベル賞が記憶に新しいですが、車の自動運転システムで使用される運転者支援カメラやセンサーのほか、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)など、近年のホットな技術製品の多くに光学技術が採用されています。こうした最先端の製品に加え、製造の現場では自動検査用カメラやレーザー加工装置、特殊な分野ではNASAの火星探索ローバ Curiosity に搭載されているセンサーなどが挙げられます。また、従来からある望遠鏡や顕微鏡なども光学製品にあたりますので、数えきれない製品が存在します。Zemax社の製品は、世にある数多くの光学技術の開発を陰ながら支援しているのです。
――なるほど。そのような製品開発を御社のソフトウェアが支えているのですね。
近年の急激な技術革新が進む光学業界において、製品開発もグローバル競争の一途をたどる中、開発製品の性能の優位性だけでなく、価格競争力や市場投入スピードも求められるようになりました。弊社のZemax Virtual Prototyping のように、OpticStudioとLensMechanixを通じて光学設計とメカ設計の両部門が共有の仮装試作品で共同作業できるのは、世界でも唯一のソリューションです。これにより早期段階で設計上のミスを洗い出し修正できるほか、ワークフロー全体を通じて設計の忠実性が維持され、コストを削減しながら短期間でより良い製品づくりが可能になります。
お客様に寄り添う真摯な姿勢で業界をリード
――Zemax Japanでの主な業務内容を教えてください。
日本法人としては営業、マーケティング、カスタマーサービスの3つを提供しています。社内体制は、お客様に技術的サービスを提供するエンジニアリングサービスチーム、営業やマーケティングを管轄するレベニューチーム、バックオフィス業務を行なうオペレーションチームから成ります。
また、日本法人を設立した理由の一つに「恩返し」とお伝えしましたが、お客様とより身近な関係を築くということも大きな目的としてあります。日本法人ができる前は、お問い合わせをいただいたご質問に対して製品の機能を紹介する製品営業を行なっていましたが、現在はお客様のもとへ足を運び、お客様が製品開発において障害となる問題に対して率先して問題解決に努めるといった、ソリューション営業スタイルに変化しています。
私たちのお客様は技術者や研究者、開発者の方々なので、そこをしっかりサポートできるようにエンジニアが社内に常駐し、日々のテクニカルサポート、技術的な情報の日本語化、ウェブセミナーや各種スキルアップトレーニングの開催など、より一層日本のお客様に役立つサービスを日々追加しています。
――もう1歩踏み込んだ成長戦略をとられているのですね。御社がこれまで25年以上にわたり業界をリードし続けている理由は、どのような点にあるのでしょうか。
Zemax創立者である Dr. Ken Mooreのビジョンを忠実に守り続けているからだと思います。そのビジョンとは、「堅固な物理学に基づくソフトウェア アーキテクチャを提供し、卓越性とイノベーションの文化を守り、お客様の声に常に耳を傾けること」です。
我々が最も重視しているのは、「すべてはお客様のため」ということです。新たな機能を開発する際には課題や要望など、お客様から得たフィードバックを素直に製品に反映しています。お客様の安心・信頼のもとに行なうシミュレーションが現実で正確な結果を出している点が、これまで成長している背景ではないでしょうか。
――お客様からの信頼が厚いのは会社として大きな強みですね。
ソフトにちょっとした不具合や計算違いがあると、お客様としてはそれをベースに製品化しますので、高性能の製品ができない可能性が出てきてしまいます。信頼という点では、当社の製品は例えばアメリカですとNASAの研究機関などでも多く使われています。
昨年は『APAC CIOoutlook Magazine』というシンガポールの権威あるIT情報誌において、IT業界の様々な分野の中からZemax社が「Top 25 Simulation Solution Providers」のうちの1社に選出され、雑誌のカバーも飾りました。
キャリアアップしながら成長戦略を描ける仲間を
――そんな御社で働くことの魅力はどのようなところにありますか?
最新の技術に触れられるのが一つの醍醐味だと思います。我々のお客様が現在開発しているものが2~3年後に市場に出たりすると、「あの時この製品を支援していたんだ」という喜びにつながります。あとは成長性のあるグローバル企業のまだ新しい現地法人ですので、大企業のように自分の仕事がどこまで貢献できているのだろう? という感覚ではなく、社員1人ひとりの働きが実勢として反映されるのが目に見えてわかりやすい。1年半前と今日を比べると、会社としても個々のスキルとしても全員が成長を実感できると思います。
――働く上での大きなやりがいにつながる部分ですね。どのような人材を求めていらっしゃいますか?
人物像としては、優秀な方であるのはもちろん、一緒に働いて楽しいことが何より重要です。仕事をする上では必ず困難な出来事がありますが、あきらめず常に前に進んでいこうという前向きな姿勢で課題クリアを楽しみ、かつオフの時には食事会やイベントなどで一緒に楽しめることが大切です。日本法人は社員数10名未満のまだ小さな会社です。ご自身のキャリアアップも含め、Zemax Japanをいかに大きくしていけるかを一緒に考えられる方という意味で、受け身ではなく能動的な方にぜひ来ていただきたいと考えています。
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技術的な製品を扱う会社であるが故によく質問されるのですが、レベニューチーム(営業・マーケティング)は光学業界経験者である必要はありません。現に、様々な異業種のバックグラウンドをもつ社員が活躍しています。というのも、同じ業界の人間が集まるとどうしても視点が偏ってしまいがちですが、様々な経験や価値観をもつ人間が集まることで多様性があり、互いに刺激し合う環境が生まれます。そこから「業界の当たり前」が改善されてお客様へのより良いサービスにつながります。現在は男性が多いですが、新たな視点や事業拡大の上でも、女性を増やしていければいいですね。レベニューチームでは未だ離職者が1名もいませんので、今後も長く働ける環境をしっかり整えていきたいと思っています。
――業界の市場を見据えた御社のビジョンをお聞かせください。
光学業界は非常に大きく市場が拡大されています。最初にお伝えした例に加え、工場のプロセスの自動化を図るマシンビジョンシステムでカメラが大量に採用されていますし、LEDや液晶テレビ化なども、30年前では考えられなかったことです。技術の進歩に連動してアプリケーションが増えることを考えると、当社製品のユーザー数も拡大の一途をたどるはずです。
Zemax社全体で、2015年から5年化計画が進行中です。私はアジア全体の責任者も兼任していますので、2020年までにアジアで全体の売り上げの40%を達成することが現在の大きな目標です。Zemax社の2017年度グループ売上高が対前年比で30%の成長をしている中で、2016年の日本法人立ち上げ時から日本を筆頭にアジアが躍進しています。というのも、アジアの売上は2016年度全体売上の約15%であったのが、2017年度は約25%にまで推移したので、大きな目標ではありますが実現は可能だと思います。
もう1点は、これまで「Zemax社=光学設計のソフトを提供する会社」というイメージが強かったのですが、2020年までに「Zemax社=製品開発のためのソリューションを提供する会社」というイメージを皆様にしっかりもっていただくことです。そのために社員一丸となって頑張っているところですので、当社のこうしたビジョンを共有できる仲間と出会っていければ嬉しいですね。
取材・文/ドラドナッツ 撮影/渡邉まり子
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